社員インタビュー

20182月に開催されたDroidKaigi2018に弊社社員の田岡弘毅がスピーカーとして登壇いたしました。
(スピーカー名 azukinohiroki、テーマ「Host Card Emulationに触ってみる」)
イベント登壇を決めた経緯や、エンジニア目線での将来展望まで、インタビューした記事を全2回に分けてお送りします。

DroidKaigiについて


インタビュアー(以下 イ):DroidKaigiって何ですか?

田岡(以下 田)いわゆるカンファレンスと呼ばれるのの一つですが、エンジニアが主体となって運営、発表を行うのが特徴だと思います。聞きに来る人も開発者で、Android界隈の人たちの技術や知識を共有しながら高めていこうという主旨なのかなぁと理解しています。
前回参加した時は、どのセッションも人がいっぱい入っていました。
人気のセッションなんかは早めに行かないと席が埋まって入れないものもある印象でしたねー。

登壇のきっかけ


:今回登壇しようと思ったのは何故ですか?

前回参加した時に、開発者同士の繋がりを持ちたいという思いがあったんですけど、
行ってみて、これは自分がスピーカー側として参加しないと、そういう目線にならないなと肌で感じたんです。
面白いテーマのセッションが多いので、いち技術者として参加するだけなら聞く側で良かったんですけどね。
それで、機会があれば(スピーカーとして)申し込みをしたいなと思っていました。
イベントそのものはすごい人たちが集まっている会なので、本当に楽しみです。

:ノウハウをオープンにすることにリスクは感じないですか?

全くないわけじゃないと思いますけど(笑)
本当にできる人は教わらなくてもできるから問題ないし、出ている人はそれぞれに思惑があると思うんです。

 

テーマについて


:今回のDroidKaigiのテーマは「ニッチな技術とコミュニケーション」ですよね?

はい。それもあったので、セッションテーマがHCEで通るのでは?という打算もありましたね(笑)
僕の場合はHCEってまだまだ普及されていないと感じていて、
(広く知れ渡ることで)自分には出せない面白いアイディアを考える人が出てきて、
使い方の幅が広がったり、ゆくゆくは自分たちの仕事が広がる可能性があると思います。

:そもそも、HCEが出てきた時に興味を持ったという感じだったのですか?

NFCが携帯に載った時に、もともと携わっていた分野だったので(知識や経験が)使えそうだなと思いました。
だけど、その後もなかなか流行らず微妙だなと(笑)
そんな中でHCEが出てきて、もうちょっと使い勝手が良くなることで広まるんじゃないかという期待感はありました。

NFCとHCE


:HCEはニッチな技術だと思いますが、分かりやすく言うとどんな技術なんでしょうか?

僕の中では「Androidでピッてやると何か動く」ぐらいの大雑把なイメージで良いんじゃないかと思います。
HCEを使えばそれが簡単に実現できるよって感じです。

:となるとNFCとは別物っていうわけではなくて、
あくまでNFCを実装するための技術って捉えればいいのですか?

NFCを使う技術の中の一分野にHCEがあるってイメージですかね。

:それを聞いて今度は、「じゃぁ、NFCじゃなくてHCEじゃないとダメなの?」っていう単純な質問が出てきました。

(笑)正直、NFCでもHCEでもどちらでもいいと思います。
利用者や開発者が特に意識しなくても使えるようになること、
細かい仕組みを意識しないで使える方が(広く普及する上では)ベストだと思います。
NFCで何か作ろうとすると、通信やICカード周りの「お作法」が色々あって、そこが開発者側にはハードルになりうるのでは?と思っているんです。
HCEはその面倒な部分の一部をウェブアプリの技術で補完できるような仕組みになっているんです。
サーバー上で動く言語でICカードの機能を作れるので技術的にはハードルが下がるイメージですね。

:へぇ~!それなら触れる技術者が増えるってことですよね

:そうです(笑)

HCEの展開


:田岡さんは、実際にHCEやNFCを長年触ってきたと思いますが、体感的には(広まり具合は)どうですか?

:全然、流行ってないなーという感じですね

一同笑

もともと、ICカードの技術そのものは金融業界とかで使われているんですね。
普通に(NFCやHCEの)広がりを考えた場合、大きいクレジット会社さんなどが動き出せば
現在のインフラにも乗るようになって認知は広がるだろうなーと思います。
一部では実証実験も始まっているみたいなので、近い将来には実用化されるだろうなとは思います。
ただ、それでも「流行る」という感じはしないし、個人的にはそういう正攻法な使い方ではなくて
全然想像もしなかった方法で世に出てきたら面白いなと思います。
技術としては「ピッとやれば動く」というだけのものだから、そこに必ずしもお金が絡む必要はないし
ゲームやエンタメ寄りの使い方でも(世間一般にも)面白さ、派手さがあるのでそこで広がってもいいんじゃないかと。

:なるほど~。
アイディアを募集するっていうその発想は面白いなと思いますね。
そのためにも実装できるエンジニアが多くなって欲しいという思いも共感します。
そうなると、田岡さんの講演を聞くなりして、もともとICの知見を持っていない人たちが
HCEの開発に参加したいと思った時に、その分野に簡単に入れるものなのでしょうか?

:そこは問題ないと思いますよ。
やったことがないから「できない」「わからない」というだけだと思うので、
そこがクリアになれば技術的に難しいことではないです。
DroidKaigi2018では、その辺りをもう少し深掘りしてお話しできればいいなと思っています。

>>> 次回インタビューは、田岡が気になるテクノロジーやエンジニアとしての今後についてお送りします 

田岡 弘毅(Taoka Hiroki)
アナログ・デジタル信号変換GWの開発、ICカードドライバやカードOS開発に4年ほど従事、
その後新規事業として立ち上がったスマートフォンアプリ開発に参加
現在は、Android開発チームのリーダーとして、後進の指導や新しい技術の導入なども担当している。
ICカード、NFCなどの非接触型認証の開発には2009年頃から関わる。

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